第2話
紀元前299,995年〜紀元前299,990年
Narrator
大地が動くことがあった。
地下深くで岩が割れ、その震えが地上まで届く。 生き物たちはそれを感じて、逃げた。 高い場所へ。開けた場所へ。
この星の生き物たちは、長い時間をかけて そのことを体で覚えていた。 覚えた者が生き残り、 覚えなかった者が消えた。 それが教え方だった。
与えるもの
大地が揺れた夜があった。
その者の足が、岩の高い方へ向いた。 私が押したのか。 体が覚えていたのか。 わからない。
その者(37〜42歳)
揺れた夜、その者は目を覚ます前に走っていた。
体が動いていた。 意識より先に。
高い岩の上に立った時、 仲間が次々と登ってきた。 揺れが止まった。 誰も死ななかった。
その者は、自分がなぜ走ったのかを考えた。 答えは出なかった。 夜明けと共に、考えることをやめた。
腹が減っていた。
与えるものの観察:体が動いた。私が押したのか、体が知っていたのか。わからない。